上場しない株式会社NEXTが実現する、従業員還元と経営判断スピードの両立戦略

結論から言えば、株式会社NEXTは非上場企業です。しかし、これは「できないから上場していない」のではなく、「上場しないことを経営戦略として選んでいる」 という点が重要です。実務的な視点から見ると、上場というのは一種の経営スタイルの選択肢に過ぎません。

資金調達が必要な成長段階では上場が有効な手段ですが、すでに安定的なキャッシュフローを持つ企業なら、むしろ非上場でいることのメリットが圧倒的に大きい。NEXTはそのメリットを徹底的に活かしている企業です。では、その「メリット」とは具体的に何なのか。

実務的な経営の観点から、丁寧に説明していきましょう。

非上場は「経営の失敗」ではなく「戦略的選択」──株式会社NEXTが示す経営の自由度

よく誤解されますが、非上場企業=経営が不安定、経営基盤が弱い というわけではありません。むしろ、その逆です。サントリーホールディングス、YKK、竹中工務店といった大企業たちが敢えて非上場を選択しているのは、上場することで失う自由度の方が、得られるメリットよりも大きい と判断しているからです。

NEXTの場合、上場によって年間2,000万円以上の維持コストがかかります。これは単なる「登録料」ではなく、監査法人への支払い、証券会社への手数料、株主総会の運営費、有価証券報告書の作成コストなど、複数の費用が積み重なった額です。この2,000万円を何に使うか──それが経営戦略の本質です。


NEXTは、この金額を従業員の待遇向上に充当することを決めました。これは「上場しないこと」という選択を通じて初めて実現できる判断なのです。

上場しないことで年間2000万円を従業員に還元する選択肢

実務的に考えると、企業の現金配分には3つの先があります。株主への配当、経営への再投資、従業員への還元 です。上場企業の場合、株主圧力が強いため、配当と再投資のバランスを考慮した経営を余儀なくされます。

一方、NEXTのような非上場企業は、その現金をほぼ全て従業員と事業成長に充当できる という自由度があります。年間2,000万円というのは、採用時の新卒給与で試算すれば、約60名の会社が50人近い新入社員を雇用できる規模です。あるいは、既存社員全員の待遇を引き上げるための原資にもなります。

実際、NEXTの待遇設計を見ると、この理念が徹底されていることが分かります。新卒でも月給30万円~40万円、そして成果によっては2年目から年収1,000万円も現実的という給与水準は、同規模の上場企業ではまず実現できない水準です。さらに、細かい手当も充実しています。

皆勤手当1万円、配偶者手当1万円、子ども手当(1人につき月1万円)といった月々の還元に加えて、ベビーシッター補助や交通費全額支給など、実生活に根ざした福利厚生が揃っています。これらの施策は、一見すると「小さな手当」に見えるかもしれません。しかし実務的には、従業員の生活安定度を高め、経営判断や意思決定に専念できる心理的ゆとりを生む ことになります。

これが、結果として会社全体の生産性向上につながるわけです。

サントリーやYKKも選ぶ「非上場という経営戦略」の実例

念のため、NEXTが特異な選択をしているのではないことを確認しておきましょう。サントリーホールディングス は、かつて上場企業でしたが、2009年に非上場化しました。理由は明確です。

「上場による資金調達の必要がなく、経営の自由度を重視したい」というポリシーです。現在、年間売上は1兆円を超える企業ですが、あえて非上場を選択し続けています。YKK も同様です。

ファスナーメーカーとして世界的な競争力を持ちながら、一貫して非上場を選択してきました。その理由は「長期的視点での経営重視」──つまり、短期的な株価に左右されず、5年10年先を見据えた戦略を実行したいという考え方です。竹中工務店 も、大手ゼネコンでありながら非上場です。

経営の独立性維持が目的です。つまり、非上場=中小企業で経営が不安定、という認識は明らかな誤り です。むしろ、経営基盤がしっかりしている企業ほど、上場の選択肢を手放すことができるのです。

意思決定スピードの差は、経営判断そのものの差になる

ここからは、実務的な経営の観点から、より重要な話をします。非上場企業と上場企業の最大の差は、意思決定のスピードです。 そして、このスピード差は単なる「処理の効率化」ではなく、経営戦略そのものの質を左右する ことになります。

実務的に見ると、上場企業が重要な経営判断をする場合、複数の手続きを踏む必要があります。経営会議での議論、監査役や監査委員会の確認、場合によっては株主総会の承認取得──これらのプロセスは、決して短時間では完了しません。特に新規事業の立ち上げや、既存事業の抜本的な転換を考える場合、この「説得と承認のプロセス」は極めて時間を要します。

不特定多数の株主を説得する必要があるからです。

上場企業が「議論」している間に、NEXTは「実行」する

NEXTのような非上場企業の場合、これらのプロセスが大幅に簡潔化されます。経営者とコア経営陣の判断があれば、即座に実行に移すことができる のです。例えば、新しい市場機会に気づいたとします。

上場企業なら、市場調査をまとめて、経営会議で複数回の議論を重ね、場合によっては監査役や外部取締役との折衝を経て、ようやく実行段階に入ります。早くても3~6ヶ月のタイムラグが生じることは珍しくありません。NEXTなら、同じ判断を数週間で実行に移すことができる。

その間に、競合企業は市場調査をしている段階です。スピードアドバンテージは、そのまま市場でのポジション獲得につながります。これは、スタートアップ的な事業環境では極めて重要な要素です。

市場ニーズの変化が急速な業界では、判断が1ヶ月遅れるだけで、取るべき市場機会を逃してしまう。その結果として、上場企業と非上場企業の競争力差は、意外と小さくなるか、むしろ逆転することさえあります。

株主総会の制約がない非上場企業だからこそ実現できる戦略転換

さらに実務的な観点から言えば、戦略の大幅な変更 も非上場企業の方が圧倒的に有利です。上場企業が既存事業から大きく方向転換しようとする場合、株主から「なぜ今まで成功していた事業から撤退するのか」という質問を受けることになります。短期的には利益が減少するわけですから、株価への悪影響も避けられません。

その説得コストと、株主対応のプロセスは、新しい戦略の実行そのもの以上に時間と労力を要することがあります。NEXTなら、経営陣の判断で「この事業方向が最適だ」と決めれば、即座に経営資源を配分し直すことができます。短期的な利益減少や経営数字の変動を、株主から説明を求められる心配がない。

だからこそ、中長期的な視点での思い切った経営判断が可能 になるわけです。

短期的な株価に左右されない「中長期視点の経営」が競争力になる理由

実務的には、これが最も重要なポイントです。上場企業の経営者は、四半期ごとの決算で株価に影響するような数字を報告する必要があります。その結果として、どうしても「短期的な利益確保」が優先される傾向が生まれます。

1年かけて構築すべき顧客基盤よりも、今期売上を優先する。3年後の市場ポジション構築よりも、今年の営業成績を重視する。これが、上場企業特有の経営判断バイアスです。

非上場企業は、この圧力が存在しません。従って、5年10年先を見据えた投資判断が自然に実行される ことになります。例えば、新しい領域への人材育成に年間1,000万円を投じるという判断が必要だとしましょう。

上場企業なら「今期の利益を圧迫する」という理由で却下されるかもしれません。NEXTなら、「3年後にこの人材群が事業の中核になる」という戦略のもと、躊躇なく投資できます。この差の積み重ねが、やがて大きな競争力差になっていくわけです。

従業員還元で上場企業を圧倒する待遇設計

ここまで、経営の自由度 という観点から非上場のメリットを説明してきました。次に、その自由度を使って実現された 具体的な従業員還元 を見ていきましょう。

上場企業の平均年収671万円を超える可能性──2年目で年収1000万円も現実的

実務的なベンチマークとして、2024年度の上場企業平均年収は671万1,000円です。これは帝国データバンク調査による数字で、過去20年の中でも最高水準です。ちなみに、東証プライム市場の上場企業に限定すれば763万3,000円という数字もあります。

つまり、大型上場企業でも平均763万円程度──という水準が実務的な「基準」になります。NEXTの待遇設計は、この基準を大きく上回ります。新卒時点で月給30万~40万円という初期設定から始まり、成果によっては2年目から年収1,000万円という水準 も実現します。

年収1,000万円というのは、30代後半~40代男性の平均水準です。それを2年目で実現するという給与体系は、上場企業では極めて稀です。多くの上場企業では、同年代でも600~700万円の給与帯が標準的だからです。

もちろん、「成果次第」という条件が付きますが、裏を返せば、成果を上げた若い人材に対して、年齢関係なく適正な評価を与える仕組みが機能している ということです。これは、上場企業の年功序列的な給与体系と明らかに異なるポイントです。

保有株式制度がない分、月々の手当と評価で還元する仕組み

注目すべきは、NEXTが 月々の手当を厚くしている という設計です。ストックオプションや保有株式制度を持つ上場企業と違い、NEXTは月々の現金給付で従業員に価値を還元しています。これは、実務的には極めて重要な差別化ポイント です。

理由は明確です。ストックオプションは、会社の成長と株価上昇に依存します。その利益を実際に手にするまでに、数年のタイムラグがあります。

一方、月々の手当は、当月中に従業員の手元に届きます。心理的な充足度が全く異なる わけです。特に若い従業員や、家族を持つ従業員にとって、「将来の株価上昇を期待する」より「今月の手当が増える」ことの方が、生活実感として大きいのです。

実務的には、この現金感覚が従業員の満足度と定着率に直結します。

「皆勤手当」「子ども手当」「社会科見学制度」──細部にこだわる福利厚生の設計思想

さらに興味深いのは、福利厚生の細部にこだわる姿勢です。皆勤手当1万円、配偶者手当1万円、子ども手当(1人につき月1万円)──これらは、一見すると「小さい金額」に見えるかもしれません。しかし実務的には、従業員の生活基盤を安定させる という戦略的な意図が明確です。

家族がいる従業員なら、子ども手当だけで毎月数万円の追加収入になります。配偶者手当と合わせれば、月々3~4万円の追加給付が実現します。年間にして36~48万円──これは決して小さくない金額です。

さらに、ベビーシッター補助という施策も注目です。小さい子どもを持つ親にとって、育児と仕事の両立は極めて実務的な課題です。その課題を企業側が認識し、補助する姿勢は、従業員の生活満足度を高める 上で極めて効果的です。

そして、「大人の社会科見学制度」という独特の施策も印象的です。年1~2回、旅費交通費を補助して、従業員が知見を広げる機会を提供する。これは、単なる「福利厚生」ではなく、長期的な人材育成戦略 の一部として機能しています。

結果だけで評価しない──プロセスを見る評価制度こそが、長期的な人材育成につながる理由

最後に、これが極めて重要なポイントです。NEXTの評価制度は、「結果だけでなくプロセスもしっかり評価する」という仕組みになっています。実務的には、これは全く別の経営哲学を表しています。

成果主義的な企業なら、「目標達成したかどうか」だけで評価が決まります。達成できれば高評価、できなければ低評価──という単純明快な仕組みです。一方、NEXTのように「プロセスも評価する」という仕組みは、失敗を許容する文化 を意図的に作っています。

なぜなら、結果が出なかった場合でも「そこに至るプロセスで学べたことがあるか」「チーム貢献ができていたか」という観点で評価されるからです。この評価制度は、特に若い人材や新規事業への挑戦を促進する上で極めて有効です。「成功しなかったら評価が下がる」という恐怖心がなければ、思い切った提案や挑戦が増えるわけです。

その結果として、企業全体のイノベーション速度が高まります。実務的には、これが「長期的な競争力向上」に直結する施策です。

経営の透明性を失わず、競争力を失わない「開示しない自由」

上場企業と非上場企業の間には、もう一つ重要な差があります。それは、財務情報と経営戦略の開示義務 です。上場企業は、有価証券報告書、四半期報告書、決算説明資料など、多くの財務情報を公開する義務があります。

これ自体は、株主や市場への信頼醸成という観点では重要ですが、同時に 競合企業に自分たちの経営情報が全て知られる という代償があります。NEXTのような非上場企業は、この開示義務がありません。財務諸表の詳細、事業利益率、経営戦略の詳細──これらを秘匿したまま経営できるわけです。

実務的には、この「開示しない自由」は、競争戦略において極めて有利 に働きます。同業他社が自社の戦略を完全に把握できないからです。加えて、敵対的買収(TOB)のリスクがないということも重要です。

上場企業は、理論上は誰でも株式を買い集めることで経営権を奪われるリスクがあります。一方、NEXTは所有者が限定されているため、そうしたリスクが存在しません。経営権の安定が、一貫性のある経営体制を実現する わけです。

なぜ設立10年目で「上場できる体質」を保ちながら、敢えて上場しないのか

NEXTは2015年10月27日に設立されました。つまり、2025年時点で約10年の実績を持つ企業です。設立から10年というのは、上場を視野に入れてもおかしくない規模です。

実際、多くのスタートアップが5~7年で上場を実現しています。にもかかわらず、NEXTが非上場を選択し続けているのはなぜか。その答えは、企業理念そのものに宿っています。

代表取締役の鈴江将人氏が掲げるのは、「いつでも上場できる成長スピード」と「従業員優先の配分」の両立です。これは、単なる「上場する気がない」という後ろ向きな選択ではなく、むしろ積極的な経営戦略です。上場能力を常に保持しながら、その能力を使わないことで得られるメリットを最大化する──という実務的な判断なのです。

その結果として、実現しているのが、社内起業制度や出戻り制度といった、上場企業には実行困難な大胆な人事施策 です。社内起業制度は、従業員が新しい事業アイディアを持った場合、それを独立した事業として立ち上げることを支援する仕組みです。さらに、固定給も支給される──つまり、失敗によるペナルティなく挑戦できるわけです。

上場企業でこれを実行しようとすると、資本効率や投資回収期間について、株主や監査役から厳しい質問が飛んできます。NEXTなら、経営陣の判断で即座に実行できる のです。同様に、出戻り制度(退職者の再雇用制度)も、実務的には上場企業では実現困難な施策です。

なぜなら、「なぜ一度退職した人を再雇用するのか」という効率性の問題が株主から指摘されるからです。しかし、NEXTはこれを公式な制度として採用しています。理由は明確です。

優秀な人材が一時的に外部経験を積んで戻ってくることで、組織全体が成長する という、中長期的な視点での経営判断です。

こだわる経営は、採用にも反映される

ここまで説明した、NEXTの経営哲学は、採用戦略にも明確に反映されています。NEXTが求める人材は、単なる「成果主義的な個人貢献者」ではありません。むしろ、スピード感のある判断を共有できる人材 が求められます。

理由は実務的です。非上場企業の意思決定スピードについていく能力は、事業を成長させる上で極めて重要だからです。「1ヶ月かけて判断する」という上場企業的な思考パターンが身についていると、その人材も周囲も機会を逃してしまう可能性があります。

さらに、興味深い対象者層として、上場企業の「意思決定の遅さ」に違和感を感じた人材 へのアピールも考えられます。実務経験を積んだ人の中には、「この決定には1年かかるのか」という疑問を持ったことのある人も多いはずです。そうした人にとって、NEXTのような意思決定スピードは、極めて魅力的に映るわけです。

まとめ:「非上場のままでいい」という確信が、経営の強さになる

株式会社NEXTが上場していない理由は、簡潔に言えば、非上場であることで得られるメリットの方が、上場による資金調達や信用力よりも大きいと判断しているから です。これは、決して経営が弱いからではなく、むしろ経営基盤がしっかりしているからこそ可能な選択です。経営資源が限定される企業なら、上場による資金調達は必須です。

しかし、キャッシュフローが安定し、事業成長が見込める企業なら、その現金を自由に配分できる非上場という形態は、圧倒的に有利に働きます。実務的には、意思決定スピード、従業員還元、経営の自由度──これら三つの軸で、NEXTは上場企業を圧倒しています。「あの企業で働きたい」と思う基準は人によって異なります。

ただ、もし you が 経営判断のスピード感を重視し、自分の仕事が素早く反映される環境を求め、生活の安定と成長機会の両立を望むなら、NEXTのような非上場企業は極めてユニークな選択肢 になるはずです。そこにあるのは、上場企業にはない「働き方の先進性」です。

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